柱状節理は雄々しく、馬蹄形の滝壺は、なんだかセクシー。


高千穂生まれの私にとって、南阿蘇は憧れの地。田んぼの続く風景は穏やかで、遠くの阿蘇山は雄々しい姿。平たい平地ととんがった山々が同時に楽しめるうらやましい地勢。幹線道路から、少し入ると隠れ家的なカフェや雑貨小物屋さんが点在する。ふと訪れて探索するのも楽しみの一つ。
阿蘇カルデラは直径30kmほどある巨大カルデラ。27万年前から9万年前くらいにかけて何度も火砕流を放出している。特に4番目の火砕流は大規模で、Aso-4と呼ばれていて、九州一円、海を越えて山口県にまで達している。これがホントの大火砕流。まあ、実際、これから同じような噴火が発生したら助からないよね。
過去に起こったことを調べることは重要で、教訓として価値があることは東日本大震災でもはっきりしたけど、過去に大火砕流が発生したことは明らか。でもそれに備えることは無理。人知の及ばないことが存在することを素直に認めるべきでしょう。阿蘇カルデラを作るほどの巨大噴火が発生したら、1時間後には九州に住んでいる人はほぼ全員死亡。逃げることは不可能。日本各地の農産物は壊滅、数年間は世界中で作物の不作がつづき、投機的な動きとあいまって、食料不足にななるのかな。戦争を誘発するかも。
自然に対する畏怖の念を改めて持つべきでしょう。対策は日頃の行いを正すとか、自然の恵に日々感謝するとかかな?
自然の恵み。阿蘇周辺は温泉や風光明媚な地形はもとより、すさんだこころを癒してくれるなど、様々な火山の恵みを与えてくれる。なかにはマニアックな趣味をもつ人にもそれなりの喜びを与えてくれる。マニアックな趣味、それは滝巡り。
阿蘇火砕流の到達範囲は九州全土に及ぶけど、(→http://riodb02.ibase.aist.go.jp/db084/maps.html)火砕流が比較的厚く堆積した大分、熊本、宮崎には、柱状節理を伴った火砕流堆積物が多く見られる。その周辺にみられる滝がなかなかいい感じなんですよね。なんていうか、丸い陥没地形や馬蹄形の滝。柱状節理の切り立った崖から垂直に流れ落ちる滝。すばらしい。
熊本県の五老ヶ滝や鮎返りの滝、鵜の子滝、宮崎県のうのこの滝、そして、大分県の原尻の滝。どれもマルっぽい~馬蹄形の滝で柱状節理の切り立った崖をもつ。なかでもお気に入りは宮崎県五ヶ瀬町の”うのこの滝”と大分県緒方町の”原尻の滝”どちらも馬蹄形の滝壺を持つ。原尻の滝は田んぼが続く緑の平地が突然陥没したみたいに落ち込んでいて見事な馬蹄形の滝壺を近くから観察できるっていうか、滝の下流に降りることも出来る。下流には吊り橋もあって、写真ポイントも沢山あります。
原尻の滝
一方、うのこの滝は、五ヶ瀬町にあるけど、国道218号線沿いに小さな看板(立て15センチ幅30センチくらいの木の看板、小さっ)があるだけで、普通に走ってたら気づかない。滝壺も国道や一般道から見えないところにあるので、滝の存在を知っているのはマニアか地元の人くらいじゃないかな。一応駐車場が整備されてるけど滝を見るためにはかなり急な階段を降りなければいけない。遠くで滝の音はするけどなかなか現れない、下まで行ってやっと見れるって感じです。滝の形は原尻の滝のような馬蹄形と言うより半円形で、柱状節理の下部がオーバーハングしていて、なかなか荘厳な雰囲気の滝です。
火山の恵みに感謝しつつ、畏怖の念を忘れない。こういう気持ちで火山に接する必要があるんでしょうね。老後は、ゆっくり温泉のある田舎で、畑を耕して暮らしたい。でも時には都市でショッピングも楽しみたいって人には、南阿蘇あたりたりはうってつけのロケーションじゃないでしょうか。風光明媚な火山あり、当然温泉あり、一応鉄道もとおっているので、熊本市内まで出ることもできるし、新幹線を使えば博多まで数時間で行くことも可能。
でも、阿蘇カルデラの中に、ついの棲み家を立てる勇気はまだもてないなあ。宮崎県霧島周辺も別荘地として利用していた人々や都会から定年後に移り住んで来た人々が沢山おられたようですが、突然活発化した新燃岳の噴火で、穏やかな生活が一変、大地を揺さぶる地震や大気を震わす空振、空を黒く覆う火山灰、パラパラと降ってくる軽石や火山灰に追い立てられるように出ていった方も多かったと・・・・・
人間の歴史を振り返り、地球の歴史を振り返り、もっともっと謙虚になるべきでしょう。知ればしるほど謙虚になる、それが真実だと思います。

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